リフォーム物語|出会いの数だけ大切な物語があります。

永久に、共に、互いの思遣り

 

くるっと丸めた図面をもって、ご来場頂いたお客様。
今回のお客様は当社のイベントにご来場がきっかけでした。息子さんとお二人でご来場のご年配の男性。その方がK様でした。
「段差が大きいからリフォームしたいんだ」図面を片手にご来場されたK様。いつもよくあるバリアフリー工事だと思っていました。
そして、現場調査へ。
焼板の壁に和瓦。土壁に木製玄関ドアの建物でした。
昔からの重厚感のあるたたずみがとても印象に残るおうちでした。
玄関をあけると、土間玄関。玄関框には素敵な一輪ざしに一輪の花が。
口の間から出てこられたK様。口の間からは框まで200㎜。框から土間まで200㎜。「よう来てもらった。」と口の間から、
土間に下りて照明をつけてくださいました。

ご主人は框にお座りになって、私たちは現場採寸へ。

キッチンダイニングを中心として、リビング、居室、洗面浴室が隣接する間取りでしたが、
キッチンダイニングが200㎜ほど下がっていて、どの部屋に行くにも段差を2回は上がり下がりしないといけない状態でした。昔、土間だった台所を、リフォームした際、その頃はご主人も若く、段差はあまり気にしなかったからでしょう。土間からあまり高さを上げず、床を作られていたのです。採寸も終わり、ご主人のお話を聞くことに。
「玄関を触るけれど、見た目もよくしてくださいね。バリアフリーだからといって、とってつけたような感じにしないように。あとは、まかせます。」
そして私達からの質問をニ、三。
「実はね。このリフォームは嫁の為なんです。病気で歩くのがおぼつかないから、少しでも楽にしてやりたくて・・・」

 

そうなのです。
奥様は、ご病気をお持ちで、手すりや壁の角を持って移動されているようでした。一日でも時間帯によって病状がひどくなる時間があるようで、ひどい時には居室から6mほどの洗面室に行くのに30分もかかるそうなのです。そんな、奥様がこの段差を毎日乗り越えられていたのかと思うと、早く解決してあげたい気持ちでいっぱいになりました。そして、家事等もご主人がされているようで、框の一輪ざしもご主人なのでしょう。そんな頑張っていらっしゃるご主人にも何か応援できないか考えました。

「ゼッタイ動線」

そして出させていただいたプランがこちら。キッチンダイニングの真ん中に1つ鉄骨梁が。
他の居室と同じ高さに床を上げることで、床から梁までが1700㎜しか残らない状態になるので、思い切り、その梁の位置で、廊下とキッチンダイニングとに部屋を分け、小さくなったキッチンダイニングは、隣接する納戸と組み合わせて大きいスペースとして間取りを組み換えました。
まずは、奥様の日常生活の動線優先。
大半はバリアフリーになり、残った段差は半減させることに成功。
間取りが変わったキッチンダイニングは、外壁に面する部分が多くなり、窓を新設して明るくなりました。

工事途中、奥様にお会いしました。
「なかなか踏み切れなかったリフォームだったのよ。自分が不自由になったから、リフォームするには、なかなか準備が大変だから億劫に感じてしまって。私が陽当たりのいい部屋を寝室にしてしまったから、主人を暗い部屋で過ごさせることになっちゃって。申し訳なくずっと気になっていたの」

ご主人のおられないところでお話された奥様の言葉。本当に感動しました。

工事は玄関・台所と2期に分けての工事になったので、少々時間がかかりましたが、とうとう完成です。
玄関にたくさん陽が入る背の高い玄関サッシ。雰囲気を壊さぬよう、土色のジョリパッドで外壁を補修しました。
玄関は、奥行きのあるホールに変わり、松の縁甲板を貼り、連続する手すりを付けました。
また、奥様の外への動線はキッチンダイニングから直接外へ。初めはスロープの計画でしたが、急になるため、一歩一歩降りて頂けるような、段差の少ない階段にしました。K様のバリアフリーリフォーム完成です。
工事も終わり、現場確認をさせていただくため、訪問させていただきました。いつも通り、濡れ縁に腰掛けていらっしゃるご主人様。ご主人様と少しお話をして入室。と、廊下で少しつらい顔で手すりにつかまっていらっしゃる奥様が。「 大丈夫ですか?」と声をかけると、

 

「声が聞こえたから、来ていらっしゃるなと思って・・・。一言お礼が言いたくて・・・。こんなに楽に家を移動できるようになるだったら、早くリフォームしたらよかった。ありがとう。本当に感謝しているの。あなたにもスタッフの皆さんにも。主人にも。」その時間は、丁度奥様にとっては一日の内の特につらい時間だそうで、そんな時間にもかかわらず、寝室から起き上がってくださったようなのです。奥様のお声を聞いて、本当に涙が出そうになりました。

すてきなご夫婦の元でできたリフォーム。私達も感謝しています。そして、ご主人や奥様のお体を配慮して工事を進めてくれたスタッフ・職人に、内輪ながら、とても誇りを持ちました。