リフォーム物語|出会いの数だけ大切な物語があります。

再形成 RE/FORM

T様は、以前中古で購入された平屋にお住まいでした。
子供さん3人も小学生になり、そろそろ個室をとお考えになり、建替えをご計画されたのでした。
ご夫婦共働きのT様との打合せは大半がメール。ほぼ毎日のように、メールのやり取りをさせていただきました。急なお返事にも対応してくださったり、画像なども送ってやり取りできるので、本当に助かりました。
自分で図面も作ってくださり、熱意をすごく感じ、それにお応えせねば!という改めて緊張を感じることが多くありました。T様の家の御希望は、箇条書きにすると数十か所。画像も一緒に添付されており、
T様のイメージが手に取るように分かりました。
そして、色々計画変更を進めて、出来上がったプラン。
御主人がポツリ。「前の家の間取りとあんまり変わっていないんですよね(笑)」

 そう、2階にが増えた事は大きな変化ですが、ほぼ前と変わらない間取り。きっと、前の家の居心地がよかったんだろうな~と感じました。
ただ、生活動線は同じでも、各所にお気に入りの本棚やディスプレイなど、

こだわりは各所に。
例えば、既製の建具で当初設計していたのですが、
当社の建具作品を見て頂く機会があり、
「本当は、こんな建具入れたかったんですよね」
T様の琴線に触れることが出来たのでしょうか?
LDKには、当社の施工建具が入ることになりました。

それでは、ご主人のこだわりポイントを少しご紹介しましょう。
[こだわりポイント1 2階から、1階の中廊下へ光を入れる]
T様家の間取りは、全部の部屋に窓があります。
しかし、階段と浴室を挟む中廊下には、窓がなく、光を入れたいというご希望。
隣接する建具に採光窓をとったとしても少ない光。
最終的に取り入れる先は、そう、二階のホールからの光。
計画段階から考えてきましたが、「本当に光が入ってくるのだろうか?」
光の量、角度など、結局は現場でしか判断できないという事に。
現場でも、何度も、大工、建具スタッフと一緒に、中廊下から二階のホールを見上げたものです。
大の大人3人が階段に座って、半時間ほど、天井を見上げていることも(笑)
ああしたら?こうしたら?と知恵を出しながら。
みんなの知恵が集まってできた作品がこちらです。
階段の壁になる部分は当社で作成した格子をふんだんに使い、
光を取り入れることに成功しました。
格子も家のデザインにマッチしています。
[こだわりポイント2 古材を使いたい]
いよいよ、建替の始まり解体工事2日目。だったでしょうか。
メールにて、「家の梁を何かに使いたい」というご要望が舞い込んできました。
急きょ、解体職人に梁を残して置くよう、連絡した事を覚えています。この梁を家具用にするには、スライスをして、いいところだけを使わないといけません。
こんなに木材が残っていますが、使えるトコロはほんの少し。
乾燥の状態も分からないですし、スライスして、使える材料の量により、ご希望のものが作れないという恐れもありました。スライスをするにも費用がかかります。
本当の事をいえば、職人側からすれば、家具用材料を新しく購入して創る方が、
安く、たわみのない家具が作れます。

ただ、当社も御主人の熱意に負けました。

「割れててもいいんです。まっすぐじゃなくてもいいです!」
そんな御主人の思いに、職人もキモチが変化していきました。
「面白いものを作ろう。楽しいものを作ろう。思い入れのあるものを作ろう。」と。これが職人魂なのかもしれません。
スライスしてみると、好い松。まだ、ヤニも出てくる生きている木のようでした。せっかくなら、いたるところに利用して、トータルコーディネートをご提供したい。社長のキモチは高まります。

キッチンカウンター用にカットした、古材の松をT様にお見せしました。
もし、NGな場合(御主人が気にいられない場合)に、現場に差し支えないように・・・、
差し替えられるように無垢のキッチンカウンター商品を隠し持ちながら・・・。
割れの入っている古材と、かたや、割れのないカウンター。
緊張の一瞬。
御主人は、その古材のカウンターを「このようなイメージ」ですとお応え頂いたのです。
それからはトータルコーディネートが進みます。
テレビ台、パソコン台、テーブル・・・あらゆるものに古材の梁が生まれ変わりました。
こだわりがつまっているほど、愛着が深まる。私はそう思います。
T様のLDKは、本当に落ち着いていて、くつろげる空間になりました。

玄関には、生まれ変わった古材カウンターの上に、御主人のキモチが詰まった書がディスプレイ。
「意志あるところに道はある」
御主人の生き方、考え方としての書ですが、
私達や職人に対しても感じるところのある「書」でした。

生まれ変わったものがもう一つ。
前の家で使われていた欄間も寝室の間接照明になりました。

新築だけど、RE―FORM[再形成]をしているT様邸です。
工事中ずっと、学校帰りに現場をのぞいてくれる息子さん娘さん。自分の個室が待ち遠しいようでした。
引っ越しを終えられ、新しい家で、お正月を迎えられたT様家族。
どんどん成長していく子供たち。
ご両親と同じように、一緒に今まで暮らしてきた梁材達も
カタチを変えて見守っていくことでしょう。